銀星糖
こちらは、キタユメ。様で連載中の「AXIS POWERS ヘタリア」のファンサイトです。二次創作を取り扱っておりますので苦手な方はご注意ください。
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拍手ログ 9
戦後すぐの話。露と日で殺伐としてます。
大丈夫だとおっしゃる方のみどうぞ。
「早く出て行ってください」
「ひどいな、落とし物を届けに来てあげたのに」
くたびれた小さな皮の手帳を差し出して、ロシアは笑った。先まで包帯に覆われ尽くした腕が伸び、手帳は乱暴に奪われる。
一つきりの黒い瞳に殺気を漲らせ、日本は射抜かんばかりの鋭さでロシアを睨む。出会った頃から変わらない、警戒と憎悪の色。
こんなふうに彼の視線を貰えるのは、世界でもロシアただ一人だ。
普段は対象の周りへぼんやりとしか視線をあてない彼が、ロシアにだけはそのぎらつく瞳をまっすぐに向けてくる。それが好きだった。
「手帳のナカミはアメリカくんが調べてたから、なくなってるものがあったら彼に言ってね」
「…………ッ」
不自由な両手がページを繰る。思い通りに動かない指に焦れてか、日本は珍しく顔を歪め、舌打ちをした。そんなところ、きっとどの国も見たことがないに違いない。今日はいい日だ。
「イライラしたら、怪我に障るんじゃない?」
「あなたが来るからでしょう、お分かりのくせに、喧嘩売ってるんですか?」
最悪に機嫌が悪いようだ。短気な反応がおかしくて笑うと、日本の眉間に皺が寄った。ああ欲しいな、と思った。彼の顔を歪ませて、可愛らしい唇から零れる呻きと悪罵を心ゆくまで楽しみたい。きっと彼は怯えたり泣き叫んだり、ありきたりな反応はしないだろう。おまけに見た目よりも頑丈で、きっと長く遊べる。
額の白い包帯と好対照な黒髪に、気がつけば指が伸びていた。払おうとする日本の腕を捕まえる。力が強かったか、日本は顔をしかめた。
「ああごめん、痛かったかな」
「触らないでください、吐き気がします」
「君がそんなこと言うの、僕にだけだよね」
特別みたいで嬉しいよ。
言えばこの上なく嫌そうな顔をするだろう。想像するだけで愉快だった。
身体をかがめて、包帯に覆われた額にキスを落とす。血と消毒液のにおいがした。
「ねぇ僕はね、ほんとは北海道が欲しかったんだ。そうしたらサロメみたいに、首だけの君に口吻けしてみたかった」
優しく優しく囁いたら、この日初めて日本の顔に笑いが浮かんだ。
心底ばかにしきった笑みだった。
「あなたには無理ですよ。おととい来なさい、ぼうや」
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続いちゃいます。現行の拍手御礼と、あと一回くらいの予定です。
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