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銀星糖

こちらは、キタユメ。様で連載中の「AXIS POWERS ヘタリア」のファンサイトです。二次創作を取り扱っておりますので苦手な方はご注意ください。


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除夜の鐘を撞きにお寺へ










 

【Je T'aimais. Je T'aime. Je T'aimerais.】









東京の年末セールで新調した外套を着込んで、ぽつぽつと古い裸電球の街灯が燈る路地に出たら、二人分の気霜が白く立ち上った。
指先から痺れてきそうなほどの寒さの中、襟巻に頬まで埋めて二人で歩く。風がなく晴れ渡ったブルーブラックの空に、ひとつ、ふたつ、小さな星が光っている。
遠くに聞こえていた梵鐘の音が、寺に近づいていくほどにだんだん大きくなってくる。先ほどまで観ていた大晦日特番の派手派手しさ、騒がしさから一転して、静寂と厳粛な空気に包まれた国。きっとどこの街でも、村でも、人々は寺院や神社を目指して歩いているのだろう。



ピピ、と小さな電子音が響いた。日本がピーコートのポケットからデジタル時計を取り出す。
明けましたね、の声は冷えこみのせいで少し痛む耳をやさしく撫でた。



「あけましておめでとうございます、フランスさん」



「ああ、おめでとう」



「今年もよろしくお願いしますね」



新年のぴんと張りつめた夜気の中で交わす、今年初めての挨拶。それがなんだかとても貴重なもののように感じられる。微笑んだ日本が何よりも大切だと、今どうしても伝えたいと強く思った。



「なぁ、日本?」



「なんですか?」



薄い肩に手を置いて、少しかがんで。かじかんで赤くなり始めている耳に、フランスは甘く、甘く、囁いた。
寒さのせいではなく赤くなった顔を背ける日本の手を引いて、夜道をまた歩き出す。少し広い通りに出るころには、冷えていた小さな手もきっと温かくなっているだろう。

 

 








 

 

 

去年、俺は君を愛してた。




今、俺は君を愛してる。




今年も、俺は君を愛するだろう。

 

 


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うちでは深夜の初詣をしたあとに、除夜の鐘を撞きに行きます。夜にいっぱい人が歩いているのってなんかワクワクしませんか?
今日未明に出歩いてたときは雪が降ってなかったのに、朝になったらモッサリ積もってました。
明日電車が動くかどうか心配なんだぜ……


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